日々の事柄に関する雑記帳。



用語

CAPMCapital Asset Pricing Model
資本、資産価格モデル
株式の価格算定理論
CDSCredit Default Swap
DCFDiscount Cash Flow
MPTModern Portfolio Theory
近代ポートフォリオ理論
REITReal Estate Investment Trust
投資対象不動産からの収入、売却益を投資家に分配する商品。
SQSpecial Quotation
特別清算指数
最終清算指数
TOPIX東証1部上場全銘柄の時価×発行済み株式数の加重平均値
発行済み株式数の多寡について調整されている。
VaRValue at Risk
リスクにされされている資産≒不意な支出の予想最大値
インカム・ゲイン利子、配当によって生じた利益
オプション金融商品をあらかじめ決めた価格で、一定期間中に売買する権利。
経済物理学物理学の法則を使って金融市場の動きを解析する。
キャピタル・ゲイン資産価格上昇によって生じた利益
行動ファイナンス理論心理学を使って市場動向を分析する。
収益還元法将来予想される収益をもとに、現在の不動産価格を計算する。
日経平均東証1部上場のうち、225銘柄の株価の単純平均値
フェア・バリュー適正価格
ブラック=ショールズ・モデルオプション価格を算定する理論
プレミアムオプションの値段
リスク・フリー・レート通常、国債金利を指す。

金融工学

工学系の方法論(統計学、確率論)を使って金融商品、実物資産の適正価格を算出する。

工学系の方法論

  • 特定の前提(環境や状況、発生頻度など)を設定する。
  • 確率論や統計学が想定するような事象が起きる、と仮定する。
リスクがある。=予測できない要因によって経済的な収益が上下する。

保険とオプションの違い

保険事前に保険料を払う。保険金が支払われるまでの手続きが複雑。
オプション事前にプレミアムを払う。自動的に所定金額が支払われる。

クレジット・デリバティブ

信用リスク(クレジット・リスク)から派生した金融商品
CDS
Aリスクの売り手銀行
Bリスクの買い手機関投資家
Cリスクの対象事業会社
  1. AはBにプレミアムを支払う。
  2. クレジット・イベントが発生する。=Cの債務が履行されない。
  3. BからAへのキャッシュ・フローが発生する。=BがAにお金を支払う。
クレジット・イベントが発生しない限り、BからAのキャッシュ・フローは発生しない。
Aに集中するリスクを移転する手段。

DCF

将来のキャッシュ・フローを現在価値に換算して、投資判断をする。
例1
手元資金100万円、年利10%
1年後の価値110万円
100 * 1.1 = 110万円
1年後の100万円91万円
100 / 1.1 = 91万円
例2
1年後のキャッシュフローは、50%の確率で200万円、50%の確率で50万円の可能性。
求める収益率25%
投資額110万円
事業の現在価値{(200 * 1/2) + (50 * 1/2)} / 1.25 = 100万円
事業の正味現在価値100 - 110 = -10万円
現在価値100万円に対して、投資額110万円は多すぎる。=投資に適さない。
例3
想定キャッシュフロー5年間、毎年10億円の家賃収入
5年後の想定売却益20億円
年利5%
投資対象の現在価値
5年後の20億円20 / (1.05)^5現在の15.67億円
5年後の10億円10 / (1.05)^5現在の7.84億円
4年後の10億円10 / (1.05)^4現在の8.22億円
3年後の10億円10 / (1.05)^3現在の8.64億円
2年後の10億円10 / (1.05)^2現在の9.07億円
1年後の10億円10 / (1.05)^1現在の9.52億円
合計現在の58.97億円
現在価値を下回る金額で投資する。

金融工学の出発点

お金の出入りを予測する。将来起こることを整理し、発生するキャッシュフローを予測する。
理屈で割り切る。統計や確率を用いる。

正規分布の分散
分散偏差の2乗の和
平均偏差偏差の絶対値の和
標準偏差分散の平方根
標準偏差が大きい平均からの散らばり具合が大きいグラフの幅が広く、なだらかになる。いろいろな結果が起こり得る。
予測が難しい。
標準偏差が小さい平均からの散らばり具合が小さいグラフの幅が狭く、急になる。予想が比較的容易。
散らばり具合が大きい→いろいろな結果が起こり得る。
  • 効率的市場仮説
金融市場や資産市場は常に合理的、効率的に動いている。
現実的には、前提条件として分析することで、多くのことを理解できる。

リスクとリターンの考え方

収益率=(保有最終日価格−購入時価格+利子・配当)/購入時価格

分散投資のリスク低減効果

ボラティリティの異なる資産が混ざると
  • ポートフォリオ全体の加重平均収益率は変わらない。
  • ポートフォリオ全体のボラティリティは、その加重平均よりも小さくなる。
2資産ポートフォリオの計算
資産ボラティリティ投資割合
AσaX
BσbY
X + Y = 1
ポートフォリオのボラティリティをVとする。
ABの共分散をCovABとする。
V (AX + BY) = X^2 σa^2 + Y^2 σb^2 + 2XY CovAB

ABの相関係数を-1 =< p =< 1とする。
CovAB = p σa σb

CAPM

金融資産のリスク、リターンの関係を明確化するモデル

オプション価格

オプション権利
コール・オプション事前に定めた価格で買う権利
プット・オプション事前に定めた価格で売る権利
プレミアムオプション価格
行使日オプションの期日

外貨の先物予約

AレートB
現在10000JPY$1 = 100JPY$100
年利1%3%
1年後10100JPY$1 = ? JPY$103
1年後のレートは、10100 / 103 ≒98.06
$100を年利3%で借りる。+$100-10000JPY
10000円を預金する。+10000JPY-10000JPY
1年後の$1 = 98JPYで為替予約する。
1年後、年利発生+10100JPY-10100JPY
預金の日本円を為替予約+$103.06-10100JPY
$103返済+$0.06+5.88JPY

株式指数先物

株価指数の先物が取引される理由
  • 株価全体の取引を行いたい。
  • 保有株式のリスク軽減のため、ヘッジ目的で取引したい。

決済方法
  • 差金の授受
  • 取引最終日までに転売、買い戻し。
  • 最終決済日にSQに基づいて最終決済する。
Ft先物価格
r利率
d配当利回り
St現物価格
先物価格は現物価格より金利分だけ高く、配当分だけ安い。
Ft = (1 + r - d) x St

現在t
ゞ睛rで資金を借り入れる。株価指数現物を価格Stで購入する。借入金は(1+r) x St。
⊂来nの先物価格Ftで売却する契約をする。

将来n
3価指数現物の配当、d x St
こ価指数現物を売却する。売却価格はSn。
ゼ敍金の返済、-(1+r) x St
先物契約の行使、Ft - Sn

まとめると
現在tのキャッシュ・フロー将来nのキャッシュ・フロー
資金の借り入れSt-(1+r) x St
株式指数現物の購入-StSn
先物売却契約Ft - Sn
株式指数現物の配当d x St
キャッシュ・フローFt - (1 + r - d) x St = 0
Ft = (1 + r - d) x St

裁定取引

  • 特定の価格で買い、すぐに買取金額より高い金額で売却する。
  • 特定の価格で売り、すぐに売却金額より安い金額で買取する。
「すぐ」=資金調達する必要がないほどの短時間

裁定取引理論:取引価格は、自己資金なしでは利益も損失も発生しない水準で決定される。

株式のコール・オプション(買う権利)

  • 現在の株式価格、1000円。配当なし。
  • 1年後に株式は50%の確率で±50%変動する。
  • オプションの行使価格、1000円
  • コール・オプションのプレミアムX
  • 金利3%。

株価上昇の場合、オプションを行使する。
オプション行使価格1000円
オプション行使による利益1500 - 1000
コール・オプションの返済1.03X
500 - 1.03X > 0の前提でXを定める。

株価下落の場合、オプションを行使しない。
オプション行使価格
オプション行使による利益
コール・オプションの返済1.03X
1.03Xの損失が発生する。
オプションではなく、株式を購入していた場合、50%(500円)の損失。
損失を限定する保険として機能する。
500 - 1.03X > 0の前提でXを定める。

空売りの仕組み

株が値下がりしても損をしない方法。→自己資金なしで利益も損失も生じない水準を探す。

株式の空売り
株価が1000円。00
株価が1500円になる。株式を1単元借りる。+10
1500円で空売りする。0+1500
株価が1000円になる。0+1500
1000円で買い戻す。+11500-1000
株式を1単元返却する。1-1500

株式のコール・オプション(買う権利)+株式の空売り
  • 現在の株式価格、1000円。配当なし。
  • 1年後に株式は50%の確率で±50%変動する。
  • オプションの行使価格、1000円
  • コール・オプションのプレミアムX
  • 金利3%。
  • 株式を1000円で空売りする。(100%のヘッジ取引)
キャッシュ・フロー合計
期日に株価が上昇した場合、コール・オプションを行使する。コール・オプション:500 - 1.03X
空売り:1000 - 1500
-1.03X
期日に株価が下落した場合、コール・オプションを行使しない。コール・オプション:1.03X
空売り:1000 - 500
500-1.03X
  • 株式を1000円で空売りする。(50%のヘッジ取引)
期日に株価が上昇した場合、コール・オプションを行使する。コール・オプション:500 - 1.03X
空売り:(1000 - 1500) / 2
250-1.03X
期日に株価が下落した場合、コール・オプションを行使しない。コール・オプション:1.03X
空売り:(1000 - 500) / 2
250-1.03X

50%ヘッジ取引の場合、株価の上下に関わらず、結果が等しくなった。
250 - 1.03X = 0の時、株価の上下に関わらず、利益も損失も発生しない。この時、X(プレミアム)は242.72円。

ヘッジ・ポートフォリオ=値動きに無関係な資産の組み合わせ
プレミアムを無視する(X = 0)とすれば、コール・オプションと50%の空売りは、常に250円になる。
これはヘッジ・ポートフォリオとして機能している。


コール・オプションと50%の空売りが、お互いに相殺する。=コール・オプションは50%の買いと同等である。
コール・オプションと50%の買いは、価格変動に関して同じく反応する。

|デルタ|オプションの表面上の金額と、原資産の割合
原資産レートの変化に対する、オプションの変化率
例:為替のオプション
US$のコール・オプションと、原資産であるUS$
原資産の価格変化に対する、コール・オプションのプレミアム(価格)の変化率=デルタ

オプション価格を求める方法

二項モデル価格が上がる場合、下がる場合を分けて考える。
ブラック=ショールズ・モデルオプション価格を求める公式。
価格変化が正規分布する前提で、一定期間の価格変化を予測する。
過去の価格変動率を標本として、今後の価格変動を割り出し、そこから外れる確率を標準偏差で測る。
  • ブラック=ショールズ・モデルの考え方
ある株式の特性
年間の価格変動率10%
標準偏差2%
この株式の株価が今後1年間で10%上昇すると仮定→期待収益率:10%
価格変化が正規分布するので、1年間の価格変化は約68%の確率で、期待収益率±1σの範囲(8〜12%)に収まる。
この考え方を前提に、オプション価格を算出する。

オプションの経済価値

現在の株価100円
コール・オプション行使価格110円
将来の株価が110円を上回る、X円オプションを行使する。オプションの価値 = X - 110
将来の株価が110円以下オプションを行使しない。オプションの価値 = 0
二項モデルの場合
前提
上昇時の将来株価150円コール・オプションの価値 = 40円
下落時の将来株価50円コール・オプションの価値 = 0円

行使価格110円のコール・オプションと同じ経済的効果を得る資産→ある単位の株式、ある金額の借り入れを組み合わせる。
この組み合わせ資産を複製資産と呼ぶ。
ある単位の株式における「ある単位」をδ(デルタ)と呼ぶ。

δ=(株価上昇時のオプション価値ー株価下落時のオプション価値)/上昇時株価ー下落時株価

この前提の場合、
δ = (40 - 0) / (150 - 50) = 40 / 100 = 0.4

0.4単位の株式の価値コール・オプションの価値差し引き
株価上昇時150 x 0.4 = 604060 - 40 = 20
株価下落時50 x 0.4 = 2020 - 0 = 20
ある単位の株式とコール・オプションの組み合わせ資産価値は20。
ある単位の株式、ある金額の借り入れを、コール・オプションの複製資産とするには、ある金額の借り入れ = 20とする。
株価の上昇、下落に関わらず、ある金額の借り入れは返済されなければならない。
ある金額の借り入れ額
金利10%20 / (1.1) = 18.2
金利1%20 / (1.01) = 19.8

コール・オプションのプレミアム=複製資産の構築費用
現在の株価100
ある単位の株式100 x 0.4 = 40
現在の金利10%
ある金額の借り入れ20 / 1.1 = 18.2
「ある金額の借り入れ」を「ある単位の株式」購入に充てる40 - 18.2 = 21.8
複製資産の構築費用21.8
  • ポイント
    • 将来の株価は2つの値だけ。
    • 将来の株価上昇、下落確率が登場していない。
    • オプション・プレミアムの算出に、上昇、下落確率は無関係。
言い換えると、上昇、下落確率に関わらず、オプション・プレミアムは一定。


Q:上昇、下落確率は、なぜ無関係と考えることができるのか?
A:そのような確率は現在株価に織り込まれており、オプションの価格設定では考慮不要。
ブラック=ショールズ・モデルの場合
前提
  • 株価の変動=ランダム・ウォーク=株価の変化量は平均0の正規分布
  • 株価は時間とともに成長する。期待値≒現在の株価
S現在の株価
t時間
d変動
dSは株価の変動、dtは時間の変動
dZはランダム・ウォーク
μ期待成長率
σ標準偏差
株価の変動dS = μS * dt + σS * dZ
株価の変動率dS / S = μ * dt + σ * dZ
σ * dZ期待収益率からの乖離
過去の平均値からの乖離
いずれの変動も、経過時間に伴う株価の変動、ランダム・ウォークの和として表現できる。

金融工学の発想
  • 過去、長期間にわたって観測された実績が、今後も起こる可能性が高い、と考える。
  • 過去のサンプルから平均値、価格変動を計算し、将来の価格は、ある確率で平均値を中心にした変動幅のどこかにある、と考える。

伊藤のレンマ(Lemma)
Lemma補題

金融工学の限界

1998年、LTCM (Long Term Capital Management)の破綻
ファンドのリスク管理に金融工学理論を用いていたが、破綻した。
金融工学の考え方が実際の市場に通じなかった実例


金融工学に続く理論
行動ファイナンス理論人間の合理性を見直す。
経済活動は人間の心理状況などに大きく影響を受ける。
経済物理学物理学の方法論で経済活動を捉える。
金融資産の価格変化率を解析すると、正規分布にならない。

行動ファイナンス理論

ミクロ的認知心理学で個人の認知的バイアス、意思決定への影響を考察する。
マクロ的社会的心理学で社会への影響を検証する。

マクロ的行動ファイナンス理論では、群集心理やコミュニケーションを分析する。
ハーディング現象金融市場の投資家が群集心理に大きく影響を受ける現象。
インフォメーション・カスケード理論不特定多数の人々の間での情報伝達、その影響。

行動ファイナンス理論の問題点
  • 歴史が浅く、研究者ごとのアプローチが異なり、一貫した体系化した理論ではない。
  • 短期的傾向を説明するのか、長期的均衡を説明するのか、タイムスケールを明確化する必要がある。
  • 心理学的なアプローチで、理論が恣意的だと批判を受けやすい。

伝統的経済学の前提
合理的経済人いつも合理的で、全く無駄をしない人
期待効用理論人々は常に合理的に、効用の期待値を最大化するような意思決定を行う。

この枠組みから外れて現実の減少を解析する。→行動経済学
伝統的な理論での捉え方アノマリー
説明できない例外事項
行動経済学での捉え方認知心理学で捉える。
人々は合理的な意思決定を行っているとは限らない。

プロスペクト理論

人々の意思決定の基になる価値は、特定の参照点からの変化、参照点から離れることで発生するメリット、デメリットに大きく依存する。
価値関数意思決定者の利益、損失を、意思決定者の主観的価値に対応させた関数。
損失回避的傾向同程度の損失、利益を比較すると、損失を相対的に大きく評価する傾向。
鏡映効果利益が出ている局面では、リスク回避的になる。
損失が出ている局面では、リスク許容度が拡大し、リスク愛好的になる。
処置効果
同程度の利益、損失を比較すると、損失が大きく評価される。
損失をカバーして参照点に戻ることは、同程度の利益を得るよりも、価値上昇が大きい。|
A現在価値を維持して、利益を確定する。参照点に対して利益が出ている。
Aから1単位の利益増は、参照点からA(1単位の利益増)よりも少ない。
Aから1単位の利益減(参照点に戻る)は、Aから1単位の利益増よりも大きい。
利益を確定し、損失を回避する。
B現在価値を維持して、状況改善を待つ。参照点に対して損失が出ている。
Bから1単位の利益減は、参照点からB(1単位の利益減)よりも少ない。
Bから1単位の利益増(参照点に戻る)は、Bから1単位の利益減よりも大きい。
損失よりも利益を追うリスクを取る。
決定の重み
確率に対する評価は客観的な数字通りではなく、主観的評価によって修正される。

小さな確率が過大評価され、大きな確率が過小評価されている。
損失が生じる場合小さな確率を過大評価する。
大きな確率を過小評価する影響は少ない。
利益が生じる場合小さな確率を過大評価する影響は少ない。
大きな確率を過小評価する。
  • 当選確率がほとんどない宝くじは、相対的に当選すると期待する。
  • 当選確率の高い候補者が、当選に不安を感じている。
価値関数と決定の重みづけを統合することで、アノマリーを説明する体系化した理論を構築した。

必ずしも合理的ではない行動の本質
  • 資産価格の下落時にはリスクを追及する傾向。
  • 不確実な事象の確率を適切に認識できない。

経済物理学

金融工学の二柱
ポートフォリオ選択理論CAPM(資本、資産価格モデル)
金融派生商品の価格決定理論ブラック=ショールズ・モデル
金融工学の前提正規分布に従う。
正規分布を仮定し理論を構築する。
価格は一つの適正値に収斂する(均衡する)。
需要曲線と供給曲線の交点(均衡点)によって価格が決まる。
経済物理学の前提正規分布を仮定しない。
ベキ分布に近似する。
実データを元にベキ分布を導入し、モデルを作る。
一つの値に収斂しない現象もあり得る。

ベキ分布が現実に近いとすれば、正規分布を前提とするブラック=ショールズ・モデルは成り立たない。
ブラック=ショールズ・モデルでオプション価格は求められない。

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