日々の事柄に関する雑記帳。

今年に入り海外投資家は先物を含む日本株を3兆円近く売り越し、アベノミクス以降に買った分をはき出した。「日本株パッシング(素通り)」との声も出るが、ここ数週間の投資家の動きをみると変化の兆しが浮かぶ。米中対立や英国の「合意なき離脱」など世界的な懸念材料が多い中だからこそ、割安さと安定さを兼ね備えた日本株が見直され始めている。

日経平均反発、30日の終値243円高の2万704円
「海外投資家の日本株への関心が落ちているとは思えない」。欧州の年金基金などを顧客に持つ仏系運用会社コムジェスト・アセットマネジメントのリチャード・ケイ氏は断言する。ケイ氏が運用する日本株ファンドには今年に入ってから約3億ユーロ(約350億円)の資金流入があった。さらにコムジェストのアジア株ファンドはアジアで稼ぐ日本株の保有を増やす方針だ。中国企業などと比べても魅力的とみる。

「先週後半から海外勢は買い越しに転じている」。マッコーリーキャピタル証券の増沢丈彦氏は打ち明ける。特に中長期投資家の注文が多いという。大量保有報告書をみても海外勢の買いは顕著だ。15日までに米フィデリティ系のFMRが萩原電気ホールディングス株を新規取得。米キャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント・カンパニーも信越化学工業など複数銘柄を買い増した。

こうした動きを象徴するのが外国人持ち株比率の高い企業の株価だ。東証株価指数(TOPIX)構成銘柄のうち、外国人持ち株比率が上位20%に入る企業の株をすべて同じ金額で購入した場合のリターンは、8月半ばを境にTOPIXを上回る日が増えた。

実際、日経平均株価が大幅高となった30日もキーエンスやソニーなど外国人比率の高い銘柄が上昇した。

日本株パッシングが変わり始めたのはなぜか。一因は相対的な割安さだ。1年先の予想PER(株価収益率)は約12倍で米国株(16倍)や欧州株(14倍)より低い。PBR(株価純資産倍率)1倍に当たる約2万円の日経平均は「さすがに割安」とみる投資家が多い。

安定感も強みだ。米国と中国はつばぜり合いを続け、欧州は英国の「合意なき離脱」リスクやポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭にさらされる。世界的な地政学リスクが高まる中、日本の政治的な安定さは群を抜いて高い。

買いに動く海外勢はまだごく一部だ。こうした動きが本流になるには、世界景気懸念から債券市場に逃げ込んだマネーが株式市場に回帰する必要がある。これまで投資家はパニック的に債券へ資金を投じてきた。米国債の予想変動率を示すMOVE指数は3年ぶりの高水準にあり、異常事態を如実に示す。

それでもリスクオンの足音はじわり近づく。大和証券の山本賢治氏は「米雇用統計などで堅調さが確認されれば、弱気に振れすぎた投資家心理が是正される可能性がある」と指摘する。

30日の東証1部の売買代金は13日ぶりにかろうじて2兆円を上回った。そろそろマネーの流れが反転し、日本株に活気が戻るシナリオにも目配りしておいた方が良いかもしれない。

近づくリスクオンの足音 海外勢、日本株を再評価

保有を増やした銘柄
3391ツルハホールディングス11580
4063信越化学工業10715
6689シスメックス6782
7467萩原電機ホールディングス2738
7518ネットワンシステムズ2848
7725インターアクション1818
7741HOYA8649
8729ソニーフィナンシャルホールディングス2454
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